ドムス・アウレア(ネロの黄金宮殿) 1


   

コロッセオを望む小高い丘のオッピオ公園。その一角に皇帝ネロの黄金宮殿ドムス・アウレアの遺跡があります。(上の写真の右手奥側が入り口。)

64年のローマの大火のあと、ネロは3つの丘にまたがるこの地にコロッセオの25倍もの面積がある広大な宮殿を造営しました。
パラティーノの丘側にあった玄関には、金メッキを施した巨大なブロンズのネロの像がそびえ立ち、宮殿内には人工の湖、庭園、外国から運ばせた野獣が歩き回る森などがありました。もちろん、宮殿は想像を絶するほどの贅を尽くしたつくりだったそうです。

68年のネロの自殺後は、後継者の皇帝たちはこの宮殿の跡形をできるだけ消し去ろうとしたため、その後1400年もの間、地中に埋もれていました。
が、15世紀に宮殿の一部の部屋が発見されると、その美しい壁画やその中で発見された「ラオコーン」などの古代彫刻は、ラファエロやミケランジェロをはじめとするルネッサンス期の芸術家たちに大きな影響を与えました。(「ヴァチカン美術館1」をご参照ください。)

   

 

1999年から久しぶりに公開が再開されていますが、入場は1回ごとに人数の制限がある予約制なので、あらかじめ切符売り場で前売り券(日時指定)を購入する必要があります。

イタリア語のガイドがつきますが、各国語によるオーディオガイドを受付で借りることができます。日本語版もあり、海外の観光ガイドにつきものの「怪しい日本語」ではなく、きちんとした解説です。
しかし、テープのスイッチのオン/オフのタイミングがむずかしく、実際に歩き回っているところとテープの解説が1度ずれてしまうと、「え?全然違うこと言っているぞ」となってしまい、何がなんだかわからなくなる、というお間抜けな事態に陥ってしまいます。

   

 

 

また、内部はかなり湿気が強く、ヒンヤリとしていました。そのせいか、直前まで全く問題のなかったデジカメが動かなくなり、内部は一眼レフで撮影しました。おそらく寒くて湿度の高いところに弱いビデオカメラなどもうまく動かなくなる可能性があります。

内部はいまだに発掘・修復作業が続いているようです。写真右のように大量の土砂に埋もれているままのところもたくさんありました。

   

ところどころにいい状態の調度が展示してあります。
しかし、この遺跡の中で発見された彫刻などの目玉美術品は、「ラオコーン」のように別の美術館や博物館に移されてしまっています。カピトリーニ美術館の「瀕死のガリア人」やローマ国立博物館(アルテンプス宮)の「妻を殺して自殺しようとするガリア人」の像などが有名です。

壁にも壁画の一部が残っています。動物や植物をかたどった模様や幾何学模様などが多いようです。

   

「ドムス・アウレア(ネロの黄金宮殿) 2」

   

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