ドムス・アウレア(ネロの黄金宮殿) 2


   

壁のところどころには、フレスコ画の一部が残っています。中には上の写真右のように、彩色もわかる部分もあります。これは2階建ての建物を描いた絵です。
2000年の月日を経てもちろんかなりくすんでいますが、当時はかなり極彩色だっただろうと想像できます。
   

 

ちょっと小さくて見にくいかもしれませんが、ポリフェムス(右)がユリシーズ(左)からワインの杯を受け取っているシーンを描いたモザイク画が天井に残っています。
 
さらに見にくいのですが、アキレスの間の天井画です。

中央部分には、我が子の身を案じた母により小さな島に預けられて、その地の王女たちと一緒に身を隠していたアキレスが、武器を取り女装を脱ぎ捨てて今まさに戦いに赴こうとしている場面が描かれています。 

 

 

天井のそこここに、このような大きな穴が開いています。
これは、大部分が地下に埋もれていたこの遺跡に多くの人たちが潜りこんで、彫刻などの貴重な文化遺産を持ち出したことを示しています。 
   

ドムス・アウレアの現在のところ発掘完了した中で一番大きな「八角形の間」。天井には大きな明かり取りの円形の窓が開いており、周囲には小部屋が囲んでいます。
ここは広大な庭園に面していた宮殿の中心的部屋で、往時はたくさんの彫像や壁画に飾られた豪華な部屋だったことでしょう。

この感じ、どこかで見たような気がしたのですが、そうです、まるでパンテオンの小型版です。当時のローマ人たちの技術力の高さはもちろん、理想とする宇宙観など、いろいろと思いを馳せればきりがありません。

いまだにその大部分が地中に埋もれており、発掘作業が終わったのはごく一部に過ぎないというネロの黄金宮殿。
今後の発掘調査により、ヴァチカンに置かれているラオコーンにも匹敵するようなすばらしい芸術作品が陽の目を見る日も来るのかもしれません。

追記
1999年から20年ぶりに再公開されていたドムス・アウレアですが、水の浸食によって壁や天井の漆喰が崩れる危険性が出てきたため、2005年12月12日より再び一般公開が中止になりました。
当面2年間は閉鎖とのことですが、再公開の予定は未定です。

   

「ドムス・アウレア(ネロの黄金宮殿) 1」

   

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