サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会 1


パンテオンのすぐそばにサンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会があります。(右の写真の右手奥にパンテオンの後ろ側が見えます。)古代、この地区にはミネルヴァ神殿があって、その上に(ソプラ)建てられた教会であるために、このように名づけられました。

教会前の広場に紀元前6世紀のオベリスクを背負った象のユニークな像があります。これはバロックの寵児ベルニーニの発案によるものです。
知性と教養の象徴である象とオベリスクを組み合わせたのは、「真の知恵を作り上げるためには、強固な意志が必要である」ということを意味するためだそうです。ついでながらミネルヴァ神は戦いの女神であるとともに、知恵と文明をもたらす学術の守護神でもあります。

この象のオベリスクは、ベルニーニの作品の中では例外的に管理人のお気に入りなのでした。

教会の創建は8世紀ですが、13世紀にドメニコ会の管理下に入り、ようやく完成したのは15世紀になってからでした。その後何度も改修されており、簡素なファサードは17世紀のものです。

   

ファサードの右側には、テヴェレ川が洪水であふれたときの水位を表すプレートがいくつもはめ込まれています。
この辺りは低湿地で、たびたびテヴェレ川の洪水の被害を受けたことを物語っています。

 

内部は三廊式のラテン十字形です。身廊と側廊を分けるアーチ及び天井のリブの彩色、宇宙を表す天井の濃い青色と交差ヴォールトの彩色など、一度入ったら忘れられないほど印象的です。
それもそのはず、ここはローマで唯一のゴシック教会で、この様式の教会にはローマではほかにはお目にかかれないからです。

ゴシック様式というとパリのノートル・ダム大聖堂などが有名ですが、「ひたすらより高く上に伸びる」ことを求めたフランスやドイツなどのゴシックの大聖堂とは違って、天井の交差ヴォールトや側廊の尖頭アーチにその影響が見られる程度です。
ですからどこかとんがったような冷たい石の塊、というイメージのゴシック様式を連想していくと、ちょっと違います。やはり南の国イタリアらしく華やかな雰囲気にあふれているのです。

   

天井部分のアップです。金色の星がちりばめられた青地をバックに諸聖人たちが描かれています。

 
 

ゴシック様式の教会には欠かせないバラ窓。正面入り口の上部にあります。
聖母マリアを中心に、マリアの純潔のシンボルであるユリの花、諸聖人たちが色鮮やかなステンドグラスで描かれています。
   

「サンタ・マリア・ソプラ・ミネルヴァ教会 2」

   

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