アヴェンティーノの丘散策 1


ローマの7つの丘の1つ、アヴェンティーノの丘は紀元前2世紀頃から裕福な人々の住宅地でした。5世紀の蛮族の侵入後はずっとさびれた状態でしたが、19世紀後半以降は再び瀟洒な高級住宅の並ぶ地区となりました。
なるほど、町中でよく見るような集合住宅ではなく、「猛犬注意」などと門に表示されているような庭つきの一戸建てが目立ちます。(写真右はサンタ・サビーナ聖堂です。)
   

サンタ・サビーナ聖堂から少し進むと、一見してロマネスクの鐘楼を備えたサンティ・ボニファーチォ・エ・アレッシオ教会があります。
この教会は4世紀にキリキアで殉教した聖ボニファーチォと5世紀のローマの聖人、聖アレッシオに捧げるために10世紀に建てられました。

聖アレッシオは元老院議院エウフェミアーノの息子だったのですが、結婚を拒んで家を出、東方へと巡礼の旅に出ました。何年もたってから家に戻り、自分の身分を隠して召使いとして17年もの間、父に仕えましたが自分の家の玄関の階段の下で死にました。その手には自分の自伝が握られていたといわれています。この「神の人」アレッシオが死んだ日には、ローマ中の教会の鐘がひとりでに鳴ったという奇跡が伝えられています。

ファサードや教会内部は基本的には18世紀に改修されたものですが、美しい5層の鐘楼は12世紀のロマネスク様式です。またコズマーティ様式の床も修復されています。
教会内にはアレッシオが暮らしたという木の階段や、アレッシオの頭部が保存されています。

ところで「神の人」アレッシオは、なぜかローマではロト籤の数字を当ててくれる聖人と伝統的に考えられているそうです。ただし、聖アレッシオの人生に倣って、9日9晩、一睡もせずに階段の下で祈り続けた時だけ、聖人はその数字を教えてくれるとか。

   

もうすこし先へ進んだマルタ騎士団広場の南西角にはサン・タンセルモ教会があります。
こちらは19世紀末に建てられたかなり新しい建物ですが、ロンバルディア・ロマネスク風の鐘楼や列柱と高窓、木の天井といったバジリカ風の内部など、古い教会の建築様式が踏襲されています。
あと500年ぐらい経つといい感じに枯れてさぞ趣深くなりそう、などと考えた管理人でした。 
 

「アヴェンティーノの丘散策 2」

   

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