サン・カルロ・アッレ・クァットロ・フォンターネ教会


ここはサン・カルロ・アッレ・クァットロ・フォンターネ教会、愛称「サン・カルリーノ」。愛称があるなんて教会としては珍しい。人々にどれほど愛されているかがわかるというものです。

この教会はミラノの大司教カルロ・ボッロメーオに捧げられ建てられました。設計者はあの奇才ボッロミーニ。建築途中でボッロミーニが自殺してしまったため最終的には彼の甥によって1682年に完成されます。

 
ここはクィリナーレ通りと、クァットロフォンターネ通りの交差点、「4つの泉」の一角に建つ本当に小さな教会です。幅はサン・ピエトロ大聖堂の柱と柱の間一個分しかありません。
しか〜し、ここには管理人の崇拝してやまないボッロミーニの才能が詰まっているので〜す!(なぜか絶叫。)

ご覧ください。正面の特異なデザイン。通常は平面である教会のファサードを湾曲させています。この大胆さこそボッロミーニ!(また絶叫!)

この教会のデザインは多くの建築家に影響を与えたように思います。管理人はどう見てもこの教会の外観をコピーしたとしか思えない教会を2つ見ております。(冷静)
   

教会内部のドームです。ドームの中心に聖霊をあらわす鳩を見ることができます。つまりこのドームはボッロミーニによる天国の表現なのです。
この楕円形のドームは内側をスタッコ模様に飾られ、側面の明かり取りから入る光によって真珠の形に浮き出たように見えるのです。この光景にうっとりせずにはいられません。なんという美しさでしょう。
さまざまな多角形のスタッコが組み合わされたこの空間に吸い込まれそうな感慨さえ持ちます。

このようにボッロミーニのデザインに幻惑されることを「ボッロミーニに噛まれる」と呼ぶのだそうです。管理人はもう噛まれっぱなし。

ちなみにライバルのベルニーニがこの教会を評して「不自然に歪められた空間」とけなしたそうですが、その言葉に彼の嫉妬がにじみ出ているように感じられます。管理人はベルニーニにこう言ってやりたい。「あんたに何がわかるのよ。おとなしく泉でもこしらえてなさい!」

   

本堂脇のキオストロ。これがまた噛んでくる。8角形の完璧な対称美の空間です。柱頭がない柱や2階の欄干のザクロ型の飾りが一つおきに逆さまになっているところなどが極めてユニークで印象的です。

 

最初の訪問の時には気づかなかったのですが、地下にはクリプタ(地下埋葬所)らしきところがありました。
とはいえ棺はほとんど見当たらず、ご覧の通りのがらんどう。しかしかえって教会の床面のプランがよくわかりました。
なにより外の猛暑がうそのように涼しくて思わずほっと一息。(写真提供:稲穂さん)
   
巷では「サン・ピエトロの美しさはその大きさにあるが、サン・カルリーノの美しさはその小ささにある。」と言われているそうです。この精神はイタリアの様々なデザインの中に、今も息づいているのではないでしょうか。
   

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