サンタ・プデンツィアーナ教会


 

サンタ・マリア・マッジョーレ教会の後ろ正面からカヴール通りを渡って次の角、ウルバーナ通りにひっそりと立つサンタ・プデンツィアーナ教会は、ローマの最も古いバジリカのうちの一つです。

伝説によると、聖ペテロを自宅に泊めたとされる元老院議員のプデンテの屋敷跡に145年に建てられた、と言われています。そしてプデンテの2人の娘、聖プラッセーデと聖プデンツィアーナは迫害されたキリスト教徒に手を差し伸べた女性とされていました。おお、なんと古い!

しかし、1969年にこの2人は実在しなかったと判定されました。実際は、2世紀の浴場跡に4世紀に建てられた教会です。まことしやかな伝説は伝説にすぎなかったわけですが、「ローマ最古のバジリカのうちの一つ」というのは間違いありません。

11世紀には附属修道院に美しいロマネスクの鐘楼が加えられました。

   

創建が非常に古い教会にはよくあることですが、ここも教会の内部は主に16世紀に、正面は19世紀にといった具合に何度も増改築されています。外観から大いに期待して中にはいるとちょっと拍子抜けします。し、白い!
1927年の修復によって、後陣のさらに後ろ側の古い教会の壁が陽の目を見るようになりました。
   

この教会には極めて古いモザイクがある、とガイドブックには書いてあるのですが、どうもそれらしいものが見あたりません。後陣には一見するととても新しいモザイクがあります。(最初はモザイクに見えませんでした。)
「もしや」とガイドブックをしげしげと眺めると、この新しげなモザイクは実は4世紀につくられたものだったのです。1600年以上経っているのに、なんでこんなにきれいなの?デザインも新しいし。修復でもしたのでしょうか。そのころ日本は弥生時代だわ。

このモザイクは「玉座のキリスト」といいます。
キリストは書物を手にし、2人の女性、聖女プラッセーデと聖女プデンツィアーナ及び12使徒に囲まれています。12使徒はローマの元老院議員のトーガをまとっています。
背景に見えるのは、ゴルゴダの丘が支配する「天上のエルサレム」を表しているのだそうです。

いかにもローマらしく、外観が非常に古風な割に本堂内部は新しかったり、新しく見えたモザイクが実は非常に古かったりと、2度びっくりの教会でした。
モザイクは非常に美しい出来です。とにかくその描写のリアルさは特筆に値するのではないでしょうか。

   

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