サン・ロレンツォ・イン・ルチーナ教会


コルソ通りに交差する小さな通りVia in Lucinaを入った広場にある教会です。
一目見て「これは古い!」と思いましたが、調べてみると案の定、ローマで最も古い教会の一つで、ティトゥルス(名義教会)でもあった4世紀の殉教者ルチーナの家の跡であるとも、女性を守護する女神ユーノを祀る泉の上に建てられたとも言われており、12世紀に教皇パスクァーレ2世により再建されたのものだそうです。
ローマの円柱を利用した前廊といい、簡素な三角破風といい、ロマネスク様式の鐘楼といいロマネスクの典型的な外観を誇っています。写真左は冬の夕暮れ、右は真夏の真昼という正反対の写真を載せてみました。
   

前廊の脇の壁には、ローマ時代の遺跡の円柱がそのままめりこんでいます。立ち入りは出来ませんでしたが、地下には遺跡も残っているようです。(写真提供:稲穂さん)
 
三廊式の内部はバロック風に装飾されていて、ちょっとがっかり。
主祭壇にはグィド・レーニの「キリストの磔刑」があります。(写真提供:稲穂さん)
   

壁を見ると、おお!、ルーブルでもさんざん観たあの画家ニコラ・プッサンの墓碑が!「プッサンはこの墓のなかで生きている。絵の中で彼の言葉を聞くことができる」などと書かれているそうです。何気ない教会にこんなものがあることが、ローマの凄いところです。

この教会の守護聖人ロレンツォは、ローマ時代に焼き網で焼かれて殉教しましたが、その時に「私の体のこっち側はもう焼けているぞ。ひっくり返して食べたらどうだ!!」と叫んだといわれています。そしてその時の焼き網がちゃんとこの教会の祭壇下に聖遺物として残っているのだそうです。あまり焼き肉屋では聞きたくない話ですね。

この教会の前の小さな広場にはルイ・ヴィトン(こっちは全然混んでないのですが、2004年夏現在改装のため閉鎖中)や、ちょっとおしゃれっぽいカフェもあり、とても洗練されたいい雰囲気だったのが印象的でした。

   

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