サンタ・コスタンツァ聖堂


ピア門をでて北東にのびる道、ノメンターナ街道。この道沿いにある教会サンタニェーゼ・フォリ・レ・ムーラ教会の隣りにサンタ・コスタンツァ聖堂があります。

何しろこの辺りは管理人もはじめて行くところなので、全然様子が分かりません。まずサン・シルベストロ広場からバスに乗って、それらしいところで降ります。親切なおばあさんが「36番のバスに乗りかえると近いですよ」とわざわざ英語で教えてくれたのですが、「どうせ近いよ。大丈夫だよね。歩こう」と歩き出したのが運の尽き。ぜんぜん大丈夫じゃない。すごく歩いた。やっぱり地元の人の忠告には従うものです。

でもこの通りはローマにしては落ち着いたたたずまいで、きれいな街路樹の大通りと大きな屋敷が続き、いい感じでした。
   
ガイドブックに載っている住所を頼りに、やっと入り口らしいものを見つけました。門を入ってずっと坂を下ると円筒の建物が見えます。これがサンタ・コスタンツァ聖堂です。(写真右)

ガイドブックによるとここは普段は開いておらず「サンタニェーゼ・フォリ・レ・ムーラ教会の守衛に頼んで開けてもらえ。」とのことで、ちょっと面倒くさそうです。
しかし、管理人が訪れたときはジュビレオ(大聖年)のせいか最初から開いていました。ラッキー!

 

堂内は完全な円形です。もとは4世紀に建てられた非常に大きな教会の礼拝堂の一つだけが残ったものなのです。

写真左でわかるように、円形の礼拝堂の回りに一本の周廊が巡っています。

ここはキリスト教を公認したコンスタンティヌス帝の娘・聖コスタンティーナの霊廟でした。このコスタンティーナという女性は当時の歴史家が口を揃えて「残忍で激しやすく、暴力ざたが絶えない」と罵っているとんでもない女性で、なぜこんな人物が聖女に列せられたのか今もって不明です。どうも同名の叔母の修道女と混同された可能性があるらしいです。いい加減な話ですよね。

大体ローマ人は名前のバラエティが少なく、しかもコンスタンティヌス、コンスタンティウス、コンスタンスなんて具合に恐ろしく紛らわしい名前を一族に平気でつけるので、歴史家でなくても混乱の一つも起こすというものでしょう。

   

堂内中央の祭壇です。ここはローマの若者には結婚式場として人気らしい。たしかに周辺もきれいだし、堂内もこぢんまりと可愛らしくていいかもしれません。これからの人はどうぞご考慮ください。

   

この教会の起源はいい加減ですが、中には素晴らしいモザイク美術が残っています。回廊の天井にびっしりとモザイク装飾が施されてるのです。

これらのモザイクのデザインは古代ローマの伝統からキリスト教時代への移行期のもので、白地のバックに幾何学模様や植物、動物、人物などの装飾がびっしり施されています。

また右の写真のようにワイン造りの様子を描いたものはとても異教的で、他の教会のモザイクと一線を画しています。

   

回廊にあるくぼみ部分(ニッチ)にはキリストを描いたモザイクもあります。
これはキリストが聖パウロと聖ペテロに福音をあたえているところ。このモザイクは後世7世紀頃に追加されました。

キリストの上にアーチ状にオレンジやレモンの装飾がなされているところがどことなく南国風です。
   
聖コスタンツァの棺桶の複製も置かれています。

本物は現在ヴァチカン美術館にあります。
あまり観光客が来るわけでもないのに、誰がこんな複製をわざわざ造って置いたのでしょうか?

 
ここは管理人の独断によるローマのお勧め見どころの一つです。共和国広場から36番のバスで行けばすぐ前までつれて行ってくれると思いますが、なんという停留所だったか覚えていないのですよ、これが。バスの運転手に最初に頼んでおくか、あきらめて延々と歩きましょう。それだけの価値がある所です。

それにしても聖コスタンツァって・・・。
   

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