カステッリ・ロマーニ


 

ローマからアッピア・ヌオヴァ街道を南東へ。市の周囲をぐるりと囲む大環状道路G.R.A.をさらに越えて、のどかな放牧地帯やところどころローマの松の下に廃墟を見ながら車で小1時間も走ると、アルバーノ丘陵地帯にたどりつきます。

このカステッリ・ロマーニ地区は風光明媚、快適な気候で知られ、ローマ時代から皇帝や貴族達の別荘が建ち並び、中世以降の政治的混乱期にはローマの貴族達が市内を避けて屋敷を建てました。

まずは歴代ローマ教皇の夏の離宮があるカステル・ガンドルフォに到着。教皇の滞在中には門の前にスイス衛兵が立ちます。離宮前の小さな広場にはオープンカフェも。3月で空気はさわやか、ひんやりしていたのですが、この紫外線!

   

 

カステッリ・ロマーニとは、古い火山の火口の跡のアルバーノ湖及びネミ湖周辺の集落の総称です。温暖な気候を利用した白ワインの名産地としても有名です。

2つの湖のまわりを囲むように、南から時計回りに春の花祭りで有名なジェンツァーノ、アリッチャ、アルバーノ、カステル・ガンドルフォ、秋のブドウ祭りで有名なマリーノ、グロッタ・フェッラータ、フラスカーティ、ロッカ・ディ・パーパなどの町が並びます。

   
カステル・ガンドルフォからフラスカーティに向かう途中のアルバーノ湖を囲む道路の両脇には、今でも由緒正しそうなヴィッラが点在しています。 

 

 

白ワインで特に有名なフラスカーティの町から望むアルドブランディーニのヴィッラ。アルドブランディーニ家は16世紀後半から17世紀初頭の教皇クレメンス8世を輩出しています。

このヴィッラは現在庭園しか見学できませんが、丘の斜面という絶好のロケーションにあります。

   
フラスカーティの町の中心は司教座聖堂であるサン・ピエトロ・アポストリ大聖堂です。
16世紀後半、教皇クレメンス8世が町の精神的支柱となるように、ボローニャ出身のオッタヴィオ・ノンニ、通称マスケリーノに命じて建築させました。

教会内部は三廊式。ジローラモ・フォンターナによる17世紀後半のファサードが有名です。 

   

風情のある街角。自家醸造のワインを出す居酒屋”フラスケッテ”が有名だそうですが、ちょうどシエスタの時間帯だったために街のお店はみんな閉まっていました。街中もひとけがあまりなくて、普段のフラスカーティの様子をかいま見ることができずに残念。

写真右は散策中にふと見つけた鐘楼。三連窓からすぐにロマネスク様式だとわかりましたが、実際11世紀初頭のものとの看板を見つけてなぜか満足。

ローマから車で小1時間のところにこんなすてきな町々があるとは。その昔、毎年秋にはその年の新しいワインを積んだ荷車がたくさんローマの街へと連なっていったそうです。

今回はインターネットで知り合ったローマ在住のパセリママのご厚意で連れて行っていただきました。フラスカーティにはFS(イタリア国鉄)でもテルミニ駅から30分ほどで行けるとか。時間があれば他の町も覗いて、ゆっくりしたかったものです。奥深い歴史の街ローマから一歩離れて郊外でのんびりする、これも真の「ローマの休日」の過ごし方と言えるでしょう。

   

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